「システム思考」といつも一緒に
序論 ― なぜ私は構造を見ようとするのか
振り返ってみると、私は若い頃から
- 「なぜそうなるのか」
- 「その背後にはどのような仕組みがあるのか」
に関心を持っていました。
園芸会社時代に抱いた値決めへの疑問も、
販売士や中小企業診断士として学んだ管理会計への関心も、
大学院で研究した一般システム論やシステム工学も、
現在研究しているシステム思考や経営者のメンタルモデルも、
すべて同じ問いの延長線上にあります。
私は出来事そのものよりも、
その背景にある構造や関係性に興味を持つ人間なのだと思います。
だからこそ、小さな会社の経営を考えるときも、
売上や利益といった結果だけではなく、
その結果を生み出している仕組みや、
経営者がどのような考え方で意思決定を行っているのかを大切にしています。
本論 ― これまで歩んできた道
私は大学農学部で園芸を学びました。
在学中は園芸に関する総合事業会社でインターンシップを行い、そのまま就職しました。
そこで約9年間働きました。
仕事は好きでした。
植物も好きでした。
しかし、経営については疑問を感じていました。
昨日は100円だったカスミソウが、今日は300円で売られている。
同じ商品なのに、なぜ価格が変わるのだろう。
観葉植物をレンタルするなら、何回貸し出せば利益が出るのだろう。
売上だけを追いかけるのではなく、
利益の出る仕組みを考えることが大切ではないのだろうか。
そんな疑問を持ち続けていました。
その答えを探している中で出会ったのが、販売士という資格でした。
販売士3級に合格したことで、
私が抱いていた疑問は「値入」や「管理会計」に関するものだと分かりました。
さらに学びたいと思い、中小企業診断士を目指しました。
会社を退職し、派遣社員としてパソコンを教えながら勉強を続け、無事に合格しました。
そこで学んだのは、
- 値入と利益は同じではないこと
- 売価値入率と原価値入率の違い
- 損益分岐点売上高分析(BEP分析)
- 利益計画
などでした。
特に私の関心を引いたのは、管理会計とマーチャンダイジングでした。
販売士1級も取得し(現在は更新終了)、
財務会計よりも管理会計、
マーケティングよりもマーチャンダイジングが、
小さい会社には重要ではないかと考えるようになりました。
その後、商工会議所・中小企業相談所に勤務しました。
業務自体はすぐに覚えることができました。
しかし当時は、今では考えられないような環境でした。
女性にはメールはいらない。
女性にCD-ROMはいらない。
女性はお茶汲みや電話当番を優先する。
私に与えられたパソコンからは、CD-ROMドライブが取り外されていました。
こころがえぐられるような思いをしました。
それでも勤務を続けたのは、小規模事業者の実態を知りたかったからです。
融資相談を通して、さまざまな経営者の悩みを聞きました。
また、パソコンやITに対する理解度も知ることができました。
この経験は、その後の仕事の大きな財産になっています。
3年後に退職し、フリーランスとして独立しました。
中小企業診断士の受験時代からお世話になっていた先生のもとで、多くのことを学びながら仕事を続けました。
また、支援のあり方を学ぶため、商工会議所勤務中に大学院(修士課程)へ進学しました。
さまざまな支援者の仕事を見る機会にも恵まれました。
しかし私は、小さい会社の経営支援をSWOT分析から始めることに違和感を持っていました。
また、「支援」という言葉にもどこか距離を感じていました。
経営者と支援者ではなく、
一緒に考える関係の方が自然だと思っていたのです。
ところが、30代後半から体調に異変が現れ始めました。
原因が分からないまま年月が過ぎ、
歩くことも少しずつ難しくなっていきました。
その後、10年ほど経ってようやく、
身体表現性障害(慢性疲労・慢性疼痛)、
化学物質過敏症であることが分かりました。
現在は電動車椅子を利用しています。
行政の仕事はなくなり、
企業からも「縁起が悪い」と言われることがありました。
正直に言えば、悔しい思いもたくさんしました。
それでも仕事を続けてこられたのは、
小さい会社の経営者の役に立ちたいという思いがあったからです。
その後、新型コロナウイルスの流行が始まりました。
結果として、オンラインで経営者と話す機会が増えました。
すると、外見や肩書きではなく、
事業そのものについて深く話せることに気付きました。
私は現在も、ほぼオンラインで仕事をしています。
これまで関わった企業は276件を超えました。
その多くが、「原価と値決め」に関する相談です。
実際に経営者と向き合う中で分かったことがあります。
それは、一番売れている商品が、
一番利益を失っている場合が少なくないということです。
だから私は、自分の事業ドメインを「原価と値決め」と定めました。
原価を見えるようにすること。
利益が出る仕組みを考えること。
そして、それを現金として残せる経営に変えていくこと。
これが私の仕事です。
結論 ― 現在の取り組みとこれから
現在(令和8年度)は大学院博士課程に在籍し、
システム工学の視点から中小企業経営を研究しています。
システム思考を用いながら、
経営者の意思決定や経営認識について研究しています。
私は、経営を見るときに、
- 原価や値決めといった「構造」
- 経営者の考え方や価値観である「メンタルモデル」
の両方を見ることを大切にしています。
原価計算だけでは経営は変わりません。
かといって、考え方だけでも経営は変わりません。
構造とメンタルモデルの両方を見ること。
それが私の強みだと思っています。
現在は、
- てまひま会計AI
- てまひま工程会計クラフト
- 経営相談・構造化支援
といったサービスを通じて、小さい会社の経営者と向き合っています。
現在取り組んでいる「てまひま経営(理念)」や「経営構造化支援(手法)」も、その延長線上にあります。
会社の価値の源泉を見つけ、
構造を整理し、
利益や現金の流れにつなげていくこと。
それが私の仕事です。
私が「小さい会社」という言葉を使うのは、規模を表したいからではありません。
私が尊敬するノッポさんが、子どもたちを「小さい人」と呼んでいたからです。
ノッポさんとは、NHKの子ども向け番組で喋らずに工作をする方のことです。
懐かしい〜と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、以下に動画のリンクを貼ります。
https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009020008_00000
晩年ののっぽさん(番組の時はノッポさん)のお顔を貼っておきます。

敬意を込めて呼ぶ言葉として、
私は「小さい会社」「小さな会社」という表現を使っています。
好きな言葉は「臨機応変」。
毎日がファシリテートとコーディネートの連続です。
現在は、仕事、研究、通院、両親の介護を行き来しながら生活しています。
それでも現場から離れないことを大切にしています。
理論だけでもない。
経験だけでもない。
現場と理論を行き来しながら、
これからも小さい会社の経営者と一緒に考え続けたいと思っています。

